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新潟国際アニメーション映画祭 四

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小林淳一


アニメーションの“現在”“過去”“未来”が見えてくる、
「手塚治虫」特集に、大島渚監督「忍者武芸帳」も上映

4回目となる「新潟国際アニメーション映画祭」が2月20日(金)より開催される。映画祭の代表理事を務めるユーロスペースの北條誠人に話を聞いた。

――まだ、そこまで認知が進んでいない映画祭だと思うのですが、どういう映画祭といえるでしょうか。

まず、大きくは「コンペティション(長編部門・Indie Box部門)」「レトロスペクティブ」「フォーラム」があります。「コンペティション」はアニメーションの“現在”、「レトロスペクティブ」はアニメーションの“過去”、「フォーラム」はアニメーションの“未来”が見えてくる仕組みになっています。

――やはり映画祭は「コンペティション」が華ですが、今回、審査員に「ルノワール」の早川千絵監督が抜擢されています。

これまでの3回になかった試みとして、実写の監督に審査をしてほしいということがありました。“映像と音”がアニメーションの基本。それを実写映画の監督がどう観たのか。若い監督に審査してほしいということもあり、早川さんにお願いしました。

――上映作品はどのように、どのくらい集まり、どのような作品が多いのですか。

フィルムフリーウェイというシステムがありまして、ネット上で応募する仕組みとなっています。世界中から応募があり、今回は258の応募作品の中から7本が選ばれています。例えば、応募作品の傾向として、ウクライナ紛争に影響を受けたような社会的な作品も多かった。「新潟国際アニメーション映画祭」の考え方として、インディペンデント作品、作家を応援、育成したいということがあるので、作品のバリエーションは多岐にわたっています。今回1本上映されますが、とりわけアメリカの応募作品は“ザ・インディペンデント”という感じが強かった。ディズニーなどの巨大企業でなく、例えばヨーロッパ型のアニメーションの制作システムにあこがれる作家が多いような印象を受けました。

――「レトロスペクティブ部門」の今回のテーマは「手塚治虫」ですね。

例えば「千夜一夜物語」を例にとると、いまのアニメーションはトーンが一定ですが、この時代(1969年)のアニメーションはそれぞれの作画の違いなどが出ていて、バラバラで、でも、そこが面白いし、アニメーションというのは、こういうふうに作られているということがわかります。「実験アニメーションシリーズ傑作選」のセレクトもやりました。例えば「ジャンピング」という作品を観れば、絵と音だけで構成された実験的なもので、手塚治虫がマンガ家であると同時に、いかにユニークなアニメーターだったかということが証明されています。

――「レトロスペクティブ部門」の延長の「Special Screening」では、大島渚監督の「忍者武芸帳」が上映されます。

劇画タッチですし、絵が動かないですから。若い人はびっくりすると思いますよ。「忍者武芸帳」は1967年の作品ですが、この2年前、「ユンボギの日記」で大島渚は“スチル写真をフィルムで撮影して映画にする”という手法を編み出していました。それを応用したのが「忍者武芸帳」です。実写とアニメーションのつながりも観てもらいたいと思いますね。

――受賞者発表会と上映がある「大川博賞」「蕗谷虹児賞」について教えてください。

大川博氏は新潟県出身の東映動画初代社長。蕗谷虹児氏は同じく新潟県出身の挿絵画家でアニメーション監督。制作スタジオや技術者、クリエイターに賞を与えようというのが、このふたつの賞の試みです。スタジオに与えられる「大川博賞」は、今回、「ひゃくえむ。」の制作スタジオであるロックンロール・マウンテンが受賞しました。技術スタッフに与えられる「蕗谷虹児賞」は作画の伊藤秀次が受賞。「Chao」の作画監督、「ホウセンカ」の原画を担当されています。こうしたことで、監督だけではなく、「スタジオ」や「技術者」に目を向け、アニメーションの制作現場の裾野を少しでも広げたいと考えております。

――まだ4回目の映画祭ですが、どのようにしていきたいと考えられていますか。

目標として「山形ドキュメンタリー映画祭」のようなものにしていきたいということは理事の中で共有しています。認知度をあげ、スターを生み出したいと思います。一方で、アニメーターとしてアニメーション業界に入っていくような技術者のスタートの場にもしたい。今回もフォーラムは充実していますし、育成と交流が積極的に行われると思います。新潟市、新潟県との関係も良好です。「山形」のように観客も育てていきたいし、観光にもつなげていきたい。いちばんは、新潟県にお返しをしたいですね。「山形ドキュメンタリー映画祭」で、ある映画を中学生の団体が観ていた。なるほど、そういうやり方もあるのかと思いました。そういうような試みを次回にはしたいな、と考えております。


新潟国際アニメーション映画祭 四

2月20日(金)~2月25日(水)


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