A PEOPLE CINEMA(エーピープルシネマ)

相米4K ふたつの創造 ふたつの感性

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相米慎二には、ふたつのマスターピースがある。「台風クラブ 4Kレストア版」(1985年製作・2023年公開)と「お引越し 4Kリマスター版」(1993年製作・2024年公開)。
前期・相米と後期・相米の代表作。自己模倣に陥らず、13本のフィルモグラフィを紡いできた才能。それでも、前期と後期には違いがある。明らかに獰猛で激しい前期と、静謐で美しく儚い後期。そこにまたがる創造と感性はどう異なるのか。「翔んだカップル」でデビュー、その主演・薬師丸ひろ子による第2作「セーラー服と機関銃」。すぐに生まれた第3作「ションベン・ライダー」(1983年)に一つ目の答えがある。相米は語っている。「この作品は夏休みの間、ひたすら西に向かって走るという映画です」(A PEOPLE・刊「相米慎二 最低な日々」より)。風のように疾走するブルース(河合美智子)、ジョジョ(永瀬正敏)、辞書(坂上忍)。前期・相米を象徴する初期3本を“小児科の映画”と言っていた相米。最初に達したひとつの頂点と、その創造と感性。「ションベン・ライダー」が、「ションベン・ライダー 4Kレストア版」として遂に蘇る。4Kの映像監修は、数々の相米映画の助監督を担当した榎戸耕史が務めた。“風”の映画が「ションベン・ライダー」なら、“花”の映画は「風花」(2001年)だ。あまりにも美しい、東京の桜の満開の元でのレモン(小泉今日子)と廉司(浅野忠信)によるファーストシーン。花は風に舞い、やがて、雪は花のように散るだろう。後期・相米映画「あ、春」で“大人の映画”としての評価を得た相米慎二、その遺作。ここにも新たな創造と感性が花開いた。その「風花」が「風花 4Kレストア版」として復活を遂げる。4Kの映像監修は本作のチーフ助監督だった髙橋正弥が担当。「相米4K」。それぞれの映画がエッジを立てて、あるいはより繊細に儚く蘇る。「台風クラブ」は「“水”の映画」であった。「お引越し」は「“火”の映画」でもあった。いま、再びまみえる2本の作品。繰り返す。「ションベン・ライダー」は「“風”の映画」である。「風花」は「“花”の映画」である。自然のあるがままのように、相米映画という存在は屹立している。2001年、9月9日、相米慎二は逝った――。53歳だった。風のように速く、花のように美しく舞った。その人生に私たちは“4K”を通じて、また出会うのである。それは、再会ではなく新たな創造と感性とのはじめての邂逅である――。

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<上映作品>

ションベン・ライダー 4Kレストア版
風花 4Kレストア版

開催:2025年9月27日~10月3日
ユーロスペース(その後、Morc阿佐ヶ谷、横浜シネマリンなどで上映)
主催:A PEOPLE

公式サイト

相米4K 創造と感性 「ションベン・ライダー」「風花」

「ションベン・ライダー 4Kレストア版」
「風花 4Kレストア版」
提供:中央映画貿易
配給:A PEOPLE
2025年9月27日(土)よりユーロスペースにてロードショー

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