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CULTURE / MUSIC
台湾から届く日本語の魅力的な響き、ゲシュタルト乙女。

90年代のオルタナティブ・ロックの影響を感じさせる「透明雑誌」、2016年のSUMMER SONICに出演したポストロック・バンド「Elephant Gym」などを輩出した台湾のインディーシーンから、またひとつ、魅力的な音楽性を備えたバンドが登場した。ファーストミニ・アルバム「タイムトラベル」(2017)で日本デビューした「ゲシュタルト乙女」。2016年1月にボーカルのMikanを中心に結成された4人組バンドだ。

アルバムのなかで筆者がもっとも惹かれたのは、タイトル曲の「タイムトラベル」。軽快なギターカッティング、心地よいグルーヴを生み出すドラムを軸にしたこの曲は、ソウルミュージック、ギターポップのテイストを取り入れたポップチューン。洗練されたメロディライン、ダンサブルなサウンドなど、現在日本で流行中の“ネオ・シティポップ”とリンクしていることも興味深い。
もうひとつの魅力はMikanが紡ぎ出す日本語の歌詞。“タイムトラベル”というSF的なテーマと“君”との恋愛模様を重ね合わせ、ファンタジーとリアルを同時に描き出した歌詞からは、彼女の作詞家としてのセンスの良さが伝わってくる。“いくらかかるですか”“線はグルグル回る繋がぬよな”など、外国人ならではのユニークな日本語の使い方も、このバンドの個性につながっている。

メンバーの4人は現在、新しいミニ・アルバムの制作中だという。新作のリリース、そして、日本でのライブが実現すれば、その存在にさらに大きな注目が集まることになるだろう。

Written by:森 朋之


ゲシュタルト乙女
2016年1月に結成された、台湾出身の4人組ロックバンド。
2017年2月、1stミニ・アルバム「タイムトラベル」が日本でデジタル配信。

http://www.universal-music.co.jp/gestalt-girl/